Q 薬物にはどんな種類があるのですか
A 薬物乱用になる薬物の種類はたくさんあります。
特に最近は、色んなものが出回っていて、簡単に手に入るようになってきました。

1 あへん
  主に東南アジアやアラビアなどの中近東というところでさいばいされているケシの花から取った汁を自然に固めたもの
見た目は黒っぽいこげ茶色をしていて、固まりになっています。特有の甘酸っぱいにおいがします

※とくちょう(強い作用を持つ)
あへんは、たばこのようにパイプなどに入れて火をつけて吸い込んで使います。
そのため、気管支や肺など、呼吸器の病気になります。
食欲もなくなり、ずっとあへんを吸い続けていたいと思うようになって、
あへんがきいている間は、夢のような気分で、なにもしたくなくなります
また、ずっと使っていくうちに、あへんなしでは生きられなくなり、あへんの効果が切れると、体中が痛くなり、その痛みからのがれようと、またあへんをもとめるようになってしまいます。

※法律で厳しく罰せられます。
あへんを持っていたり、一度でも使ったら7年以下の間刑務所(けいむしょ)に入らなければなりません

※あへんの材料になるケシは、お花屋さんで普通に売られているケシの花によく似ています
マンションやアパートのベランダなどでも簡単に育てることができますから、もしそういうものを見かけたら、お父さんお母さんに知らせて、警察に連絡してもらうようにしましょう。

2 モルヒネ・ヘロイン
  あへんから、モルヒネ・ヘロインができます
白い粉のようなものだったり、白い 小さな固まりだったりします。
中には、棒のような形をしていたり、板のような形のものもあります。
一般的には臭いはしませんが、酸っぱいにおいがするものも中にはあります

※とくちょう(非常に強い作用を持つ)
モルヒネ、ヘロインは、粉をアルコールなどで溶かして、注射で身体の中にいれます。
一時的にはとても強い気持ち良さなどを感じますが、クスリが切れたときには、禁断症状(きんだんしょうじょう)と言って、身体中がとても痛く、骨がバラバラに飛び散るような感じで、叫び出すほどの苦しみがおそってきます。
だからまた使ってしまうという、クスリなしでは普通に生活することができないようになってしまい、からだも心もボロボロになってしまいます。また一度に大量に入れると、息が出来なくなって死んでしまうこともあるおそろしいクスリです。

※法律で厳しく罰せられます。

ヘロイン・モルヒネを持っていたり、一度でも使ったら10年以下の間刑務所(けいむしょ)に入らなければなりません

3 コカイン
  主に南米(南アメリカ)の国で栽培されているコカという植物の葉から作られたのがコカインです
無色または白い小さな結しょうの固まりになっていてにおいはなく、ちょっと苦い味がします
コカインと重曹(じゅうそう)を化学的に反応させて作られる、クラックと呼ばれるものもあります

※とくちょう(非常に強い作用を持つ)
結しょうを火であぶって、そのにおいをかいだり、粉を鼻から直接ストローなどを使って吸い込んで使います。 そのために鼻の中の皮ふがただれたり、肺もただれてしまいます。また、皮ふと筋肉の間に虫がはいまわるような感覚が起こります。
脳へのえいきょうも大きく、ちほう状態(何も考えられない状態)となり、人間として生きることそのものをやめてしまうことになるのです
コカインの恐ろしさは、どんな人も一度使ってしまうと決して自分からはやめられないことにあります
薬が切れると、虫が身体をはい回るような、気持ちの悪い感じがして、自分の皮膚を針で刺したりします。
使っていくうちにだんだんと効果が薄れるように感じ、どんどん使う量が増えていきます。
また、一度にたくさん使ったために、息が出来なくなって死んでしまうこともあるおそろしいクスリです。

※法律で厳しく罰せられます。
持っていたり、一度でも使ったら7年以下の間刑務所(けいむしょ)に入らなければなりません

4 大麻(たいま)
  主にアジアや中近東で栽培されている大麻草(たいまそう)の葉を乾燥させて作ります
乾燥させた葉をたばこにしたものが「大麻煙草」で、マリファナと呼ばれています
また、若芽や木の樹液を固めたものが大麻樹脂(たいまじゅし)で、暗い緑色をした棒または板のような固まりになっていて、ハシィッシュと呼ばれています。
葉や樹液から作られたネバネバする暗い緑色や黒い液状の大麻(ハシッシュ・オイル)もあります。

※とくちょう(げんかくをみたり、やめられなくなったりします)

大麻草を乾燥させて作ったたばこを吸ったりすることによって、気分が良くなって、陽気になり、よく話すようになります
また、げんかく(現実にはないもの)を見たり、物事を覚えられなくなったりします
大麻を吸っている人からは、独特の甘いようなにおい(刺激的な強いにおいで、「クサイ」と感じるにおい)がします。
一時的には気持ちよい状態になるので、何度でも吸うようになり、やめられなくなってしまうばかりか、効果がなくなってくるので、吸う量も増えてしまいます
これによって脳がこわれて元に戻らなくなったり、病気にうち勝つ力(めんえき力) が落ちて病気になりやすくなり、大した病気ではなくても死んでしまうこともあります。
のどの病気や気管支の病気を引き起こし、子どもを作る能力にも影響を与えてしまいます

※法律で厳しく罰せられます。
持っていたり、一度でも使ったら5年以下の間刑務所(けいむしょ)に入らなければなりません

5 覚せい剤(かくせいざい)
  覚せい剤とは、ねむけを吹き飛ばして目を覚まさせ、ドキドキするような興奮した状態にさせるクスリです。
無色の結しょうか白い粉で、臭いはなく、苦みがあります。注射や、カプセル、錠剤を飲んだり、中身の粉状のものを鼻から吸いこんだりして使います。
アジアで栽培されているマオウという常緑樹のくきからしぼった液が原料で、 元々は漢方薬の材料でもあります。これから科学的に取り出したアンフェタミンや、メタンフェタミンといわれる物質を原料としたクスリのことで、普通「シャブ」とか「S(エス)」「スピード」などと呼ばれています。

※とくちょう(非常に強い作用をもつ)
飲んですぐに、ジェットコースターに乗って宙を舞うような感じになり、自分が何でも出来るスーパーマンになったように感じます。ところが、いったんクスリが切れると、強い頭痛や不安な気持ちになったりします。 もう一度、飲んだ時のような感覚を味わいたいと思うようになり、どんどん量が増えていきます
そのうちに、覚せい剤の成分が脳をこわし、実際には聞こえないものが聞こえたり(幻聴<げんちょう>)、見えないものが見えたり(幻覚<げんかく>)します。歯が抜けたり、手足がブルブルふるえたりしますが、一旦こういった症状がでてしまうと、完全に元のからだに戻すことは不可能です。
使用をやめ、本人は、完全に治っていると思っていても、 ほんの小さなことがきっかけになって、元の症状が再びおそってくることが多いのです。
幻聴幻覚から、怪物に追いかけられていると思いこんで、高いビルから飛び下たり、クスリを買うために、お金をおどし取ろうとして、人を傷つけたり、悪いことをしてしまうこともあります。
また、一度に大量に使うと、全身にけいれんが起き、意識を失い、脳の血管が破れて、死んでしまうこともあります。

※法律で非常に厳しく罰せられます。
持っていたり、一度でも使ったら10年以下の間刑務所(けいむしょ)に入らなければなりません。 それほどに人間の心と身体、また社会全体に大きな被害を与えるものなのです。

6 LSD(エルエスディー)
  LSDは、科学的に合成されたクスリで、麻薬の一種です
紙にLSDを溶かした液を染みこませたものや、錠剤や、カプセルなどがあります。

LSDが染みこんだ紙をなめたり、カプセルを飲み込んだりすると、実際の物の形が、ゆがんだり、巨大に見えたり、虹のように色んな色が光り輝いて見えたりする状態が、数時間続きます
時間の感覚がなくなったり、自分のいる場所も分からなくなってしまいます
その感覚が忘れられずに、くり返して使ううちに、精神に異常が現れてきます。

※法律で厳しく罰せられます。
持っていたり、一度でも使ったら3年以下の間刑務所(けいむしょ)に入らなければなりません。

7 向精神薬(こうせいしんやく)
  向精神薬とは、すいみん薬や痛み止めの薬などのことで、バルビツール酸という成分を含むお医者様から貰ったり、薬局で買える薬です。もともとは眠れない時や、いらいらしたときに飲む薬ですが、これらも乱用すれば薬物乱用となります。
向精神薬を飲むと、からだの緊張がほぐれ、リラックスした気分になります。LSDもこの薬の一種です。

※とくちょう(強い作用をもつ)
ピンクや、赤、青、黄色など色んな色のカプセルや、じょうざいになっていて、飲み込んで使います。
LSDは、科学的に合成されたクスリで、麻薬の一種です。紙にLSDを溶かした液を染みこませたものや、じょうざいや、カプセルなどがあります。
普通お医者さんの指示通りに飲んだり、薬の説明書通りに飲めば、問題はありませんが、1日の量が決められているのに、勝手にたくさん飲んだりすれば、だんだんと何もしたくなくなり、立ち上がったり、歩くことさえ、つらく感じて、出来ないようになっていきます。続けて飲んでいると、いつも頭がハッキリしない状態になり、ものごとをよく考えられなくなってしまいます。そして、お酒などと一緒に飲むと、悪くすると、死んでしまうこともあります

※法律で厳しく罰せられます。
乱用の目的で持っていたり、使ったら3年以下の間刑務所(けいむしょ)に入らなければなりません
これらの薬は、お医者さんの管理の下で使う分には問題はありませんが、病気でもないのに飲んだり、自分勝手に量を増やしたりすると罪になります

8 有機溶剤(ゆうきようざい)
  有機溶剤とは、ペンキぬりの時にペンキを薄めるために使うラッカーやシンナー、プラモデルを組み立てる時に接着剤として使うボンドなどのことで、蒸発して強いにおいをだす液体のことです。
これらを閉め切った部屋などで使うと、頭がクラクラしたり気分が悪くなったりします

※とくちょう(強い作用があります)
有機溶剤を吸い込むと酒によったようになり、頭がクラクラしてきます。これは有機溶剤が蒸発して、身体の中に入り、脳の神経をおかすからです。良い気持ちになり、シンナーのにおいなどをかぎ続けると、目が見えなくなったり、耳が聞こえなくなったりして、一生治ることはありません
また、心がこわれて、お父さんお母さんや、友だちの顔さえ分からなくなってしまうこともあります一度にたくさん吸い込むと、死んでしまうこともあります
また、シンナーを買うお金を作るために、お金をぬすんだり、人を傷つけたりします

※法律で罰せられます。
シンナーなどを吸うことを目的で持っていたり、使ったら1年以上の間刑務所(けいむしょ)に入らなければなりません


薬物乱用になっているかどうかを判断するチェックポイント
1. 薬物の効き目が弱まる。
2. 禁断症状(きんだんしょうじょう=薬が切れたときにおきる、苦しさやいらいらした気持ち、何もしたくない気持ちなど)がみられる。
3. 使う量が増えて、使う回数が多くなっている。
4. やめたり、クスリの量を減らそうとしてみたが、失敗している。
5. 薬物の使用に多くの時間をかけている。
6. 薬物が原因で、しなくてはならないこと(例えば、学校に行く、勉強をする、など)をやらなくなっている。
7. いけないとわかっているのに、やめられない。
  この中で、3つ以上に当てはまるときには、薬物依存(やくぶついぞん=薬物が無 くてはならない状態で、中毒になっている)の状態になっていると診断されます。